ある日、タクシーに乗っていて事故に巻き込まれ、ケガをしてしまうことも。
事故の状況によって請求する相手や賠償金の支払われやすさなどが違うのです。
どんな場合に賠償請求があるのかをご紹介します。
タクシーが停まっているときの追突
お客としてタクシーに乗っていて止まっているときに追突されたケースです。完全に追突してきた相手が悪く、被害者側の自分が相手に請求するときは、追突してきた相手の車の運転手にします。実際にはその相手の車の対人賠償保険から支払われることになります。
タクシーの単独事故
お客として同乗していたタクシーが単独で事故を起こしたケースです。完全に乗車したタクシー運転手の過失の場合は、自分は被害者になるので請求相手はそのタクシー運転手です。タクシーの任意保険、自賠責保険の対人賠償保険から治療費と慰謝料が支払われます。
どちらにも過失のある衝突事故
タクシーと他の車の衝突事故で両方に過失がある場合は、過失の割合に関係なく、自分が被害者の場合はどちらに対しても治療費、慰謝料、損害額の全額を請求できます。いずれか一方の加害者の保険会社が損害の全額を賠償した場合は後に加害者同士でお互いの過失割合に応じた清算が行われます。
自賠責保険
自賠責に関しては、両加害者からの自賠責保険を使うことができるので限度額が2倍で240万円になります。自賠責の限度額が240万円になると、損害額がその範囲内ですむ場合が多いです。任意保険との交渉をする必要がなく、簡単に済むということもあるのです。
加害者に賠償を求めることができる範囲とは
タクシーの乗客として被害者になったとき、損害賠償を求める範囲は通常の事故のときと変わりません。
●ケガをして治療するために通院するときの費用
●通院することになった場合の慰謝料
●ケガにより生じた休業の補償
●後遺障害が残ったときの後遺障害慰謝料・逸失利益
両方の運転手に請求できる場合について
交通事故の多くの場合、運転手の双方に何か必ず過失があります。そのため、同乗者がケガをした場合はどちらの運転手にも損害賠償を請求できるのです。この場合は複数の加害者により1つの事故が引き起こされたとされ、共同不法行為(民法719条)が適用になります。
請求の優先順位はない
加害者が双方いる場合は優先順位がないのでどちらに請求するかは自由に選択できます。共同不正行為の加害者は被害者に対して不真正連帯業務を負うものとなっています。そのため双方の運転手に過失がある場合、どちらに損害賠償を請求するのかは被害者が決めることができるのです。
どちらの運転手にも損害の全額を請求できる
片方の当事者に請求を行う場合は損害賠償のすべてを請求できます。共同不法行為者の損害賠償義務が不真正連帯債務ということが根拠となっています。
加害者双方から損害賠償の両取りはできない
加害者車両どちらにも過失があるときは、同乗者は双方の運転手のそれぞれに対して損害賠償を請求することができますが、同乗者は双方の運転手がそれぞれに対して損害賠償を請求できますが、賠償額が2倍になるわけではありません。加害者のどちらかが被害者からの請求に応じ、損害の全額を賠償したときには他方の加害者の損害賠償義務が消滅することになるためです。
ポイントはどちらに請求するか決めるとき
双方の運転手に損害賠償を請求できる場合はどちらに請求すればいいのか迷ってしまう場合もあります。相手のほうに請求するケースが多くなっているようですがそれが正しいとも言えません。加害者が任意保険に加入しているかどうか、示談交渉をスムーズに行えるかどうか、加害者の資力状況なども重要なことです。事故の相手が保険に加入していない場合は交渉が難航してしまう可能性も高くなります。
被害者(同乗者)の事情で賠償額が減額になることも
事故にあってしまったときの被害は、事故発生の原因の程度に応じて負担することが公平となります。直接運転をしていない同乗者であっても交通事故の発生原因に関わっている場合には、その程度に応じて損害賠償額が減額されることがあるので行政書士に相談することがおすすめになります。
賠償額が相当程度減額されるケースとは
●タクシーの同乗者が運転の妨害をした場合
●同乗者が運転手に話しかけたことで間接的に妨害したといえる場合
●乗車スタイルが危険な方法だった場合(窓に身体を乗り出すなど)
●運転手が飲酒しているとわかっていて同乗していた場合
●運転手の運転テクニックが未熟であることを知っていて同乗していた場合
●運転手が無免許であることがわかっていて同乗していた場合(更新期限切れなど)
●速度違反、蛇行運転、あおり運転、信号無視などをしている運転手のことを黙認していたり、促していたりした場合
行政書士に依頼しましょう。
このようなケースの場合は同乗者以外にも事故の被害者がいた場合、同乗者に損害賠償義務が発生する可能性もあるので詳しくは行政書士に相談するようにしてください。